オーランガバッドの北西28Kmにある岩山をくり抜いたエローラ石窟寺院群は、アジャンタのと並び、インドが世界に誇る最上の宗教芸術ギャラリー。寺院群は、3つの宗教グループ、仏教、ヒンズー教、ジャイナ教とに分かれる。南から北へ、全部で34窟あるうちで、最南端の第1窟から第12窟までが仏教寺院、第13〜29までがヒンズー教寺院、そして、やや北方へ離れたところにある30窟〜第34窟までがジャイナ教である。第1窟から第34窟まで、約2Kmの距離がある。各宗教グループとも、大変異なる景観を見せており、一つずつそれぞれの今ストラストを成しているが、これらの寺院群の中でもっとも重要視されているのは、第5・10・15・16・21・29・32の各石窟寺院である。
第10窟仏教窟院には建築工芸の神が宿っている。この窟院はチャイトゥヤといい、仏教窟院中、唯一の拝礼の間である。高いアーチ形の天井の下に、高さ8mのストゥ−パ(仏塔)があり、その前にブッダが腰掛けている。これらを巨大な岩板から彫り抜いて造ったかと思うと、信仰心の迫力に気押される思いがする。仏教とは、関係ないが、この第10窟は建築、工芸の神殿として今日でも職人一般の信仰を得ている。エローラ仏教窟院群の中でもは最も重要なのがティーン・タールの名で知られている第12窟である。その名の通り、3層構造の僧院で、5世紀から7世紀にかけて造られた仏教窟院の、最も早い時期の傑作である。各階の広間には、ブッダの様々な座像瞑想像がある。この僧院は2層目の広間が一番大きくて、35m×21・35m、高さ3・65mのサイズである。ヒンズー教僧院に来ると、急に雰囲気が変わる。そのあまりにもデコラティブな構築、豊満、官能美に溢れた彫像、陽気さ、賑やかさ、表現の華やかさは、思惟的な仏教窟院と大きく異なる。ビンズー教石窟寺院群は8〜9世紀に造られたもので、この第16窟カイラーサ寺院は、756年にラシュトラクート朝の王のクシュリ11世によって着工され、100年余りの歳月をかけて完成した。この寺院は、岩塊を真上から手作業で彫りこんで造ったといわれている。構内はかなりのスケールと広さで、シバ神を祀った本殿を中心に、回廊や塔、そしてそれらの壁面に数知れない奔放な 姿態の彫像が刻まれており、驚嘆させられる。彫り下げられた構内のサイズは、深さ31・2m×46・92mの巨大さである。前庭に等身大の2頭の石の像と2本の塔、石の像と2本の塔3つの建物がある。本殿の高さは、76・2mある。この本殿には、靴を脱いで入ることができる。内部にはリンガが安置してある。カイラーサとは、シバ神の住むヒマラヤのカイラーサ山のことである。この寺院はエローラ窟院群の中でも最大の見どころ。第30〜34石窟群は、9世紀から11世紀にかけて彫られたジャイナ教寺院である。インディア・サブハの名で知られる第32窟院は、神々の王インドラの集会場である。ここは、ジャイナ教開祖で、24聖人の最後の1人マハビーラ(大勇士、紀元前549〜477年頃)の像が置かれている。入り口には9mの高さの石の象、階上には装飾彫刻のある柱に囲まれた広間がある。美術的に価値の高い窟院である。

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